西遊記をパロッた作品で、西遊記や三蔵法師とは、一切無関係です。
    主人公は、十八歳の美少女、三条法子である。

  法子は高校三年の夏休みに東京から京都の寺を目指す計画を立てていた。

    ある日、法子の夢に観音様が出て京都の寺に家宝の掛け軸を、
持って行きなさいと言われたと父に報告した。

  「お父さん、家宝って、掛け軸なの?」
  「法子、何で家宝を知っているんだ?」

  「夕べ、夢の中で観音様が出て来て、京都のお寺に持って来なさいと言われたのよ」
  「そうか、法子も観音様を見たのか……
代々、我が家に言い伝えがあるんだが、肝心のお寺が何処か分からないんだよ」

  「誰か、挑戦した事があるの?」
  「あぁ、妹の美春が挑戦したんだが、京都で行方不明になってしまった」

  「お父さんの妹さんって何歳だったの?」
  「たしか、十八歳だったかな、まさか、法子が観音様に呼ばれるなんて」

    父は、押し入れの奥から巻物を二本出してきた。
  「法子、これが家宝の掛け軸だけど、開いたら罰が当たると言われているんだよ」
  「何でなの?」

  「お婆ちゃんから聞いた言い伝えなんだけど、とにかく罰が当たると聞いたんだよ。
京都から東京に来る時にお寺から三本の掛軸を戴いたそうだ」
  「何で二本なの?」

  「美春が十八年前に、掛軸を一本持って行方不明になったんだよ」
  「京都に行っても、肝心のお寺が分からなきゃダメだよね?」
 
  「法子とお父さん、お母さんの三人で京都に行こう。
そして、掛軸にお祈りをしてもらって、開封してお寺を聞けば簡単にわかるよ。
掛軸を返納すれば、もう、罰が当たらなくて我が家も安心だろ?」
  「三人なら安心だよね。お母さんも行くのかな?」

    父の顔が曇った。
  「お母さんは美春と仲良しだったんだよ。絶対行くよ」
  「仲良し?」

    家族会議で夏休みに京都に行く事になった。

   三条親子は、夏休みのある日、自家用車で京都に着いた。

  「早速、観光案内所で祈祷してもらうお寺を聞いてみよう」 

   京都府観光案内所を訪ねてみた。

  観光案内の受付嬢の後ろにいた女性は逃げようとした。

  「あっ、十八年前にいた人ですよね?」と父の正人がたずねた。
  「えっ、知りません」

  「妹の美春が行方不明になった時、案内してくれた方ですよね?」
  「三条美春さんなんて知りません」

  「なんで、名字を知っているんですか?」
  「えっ、仕方ないですね。そうですよ。私が美春さんをお寺に案内しました」

  「なんで隠しているの?」
  「まさか、十八年前のお兄さんが来るなんて聞いていないから」

  「聞いていないからって、誰から?」
  「えっ、とにかく何にも知らないから」
  
  「あなたの自宅に泊めてもらえませんか?」
  「それは、マズいですよ」

  「やっぱり、美春が居るんだな?」
  「仕方ないですね。今、美春さんと連絡取りますから直接、お話をしてください」

   案内所の女は、渋々、美春の携帯に電話していた。
 
  「モシモシ、美春さん、あなたのお兄さんが来ているから娘を紹介するわよ」

  「美春、何処に居たんだよ。心配していたんだ。娘って、美春の娘なのか?」

  「掛軸は持って来たかって?わかった。タクシーで来るんだな。此処で待っているよ」

    案内所の受付嬢は美春の娘で三条美幸と言う名前だった。

   案内所で一時間待たされて、ようやく、美春が現れた。
 
  「お兄さん、掛軸ちょうだい」
  「十八年ぶりなんだぞ。どんなに心配したか分かるか?その言い方は何だ!」

  「あら、奥様に聞いたら、私が失踪した理由がわかるわ」
  「恵美、美春が失踪したのを知っていたのか?」

  「はい、私と同じ時期に、妊娠したので隠しました」
  「うぇ〜、本気かよ?美幸も俺の子かよ?」

  「そうですよ。法子が夢に見たのも、全部嘘ですよ」
  「みんな、共犯か、何で京都まで来たんだよ?」

  「掛軸を売って京都に住むのよ」
  「バカ、この掛軸は家宝だぞ。売ったら罰が当たるぞ」

  「だから、お祈りしてもらって、元のお寺に返納すれば良いのよ」
  「美春、何処のお寺かわかったのか?」

  「十八年も調べれば、バカだって分かるわよ。
うちの先祖様がね。お寺様から盗んだのよ。恥ずかしいから返しましょう」

  「ぬ、ぬ、盗んだぁ?じゃあ、我が家は犯罪者の先祖様を敬っていたのか?」
  「そうでもないのよ。先祖様が盗んだ後に火災が起きてね。お寺は再建されたのよ」

  「御先祖様は、お寺に放火までしたんだ」
  「あほ!放火するわけないでしょ。焼けたのは数年後よ」
 
  「さっき、掛軸を売るって言ったよな?いくらなんだ?」
  「一億円だったかな?」

  「一本で一億円か?」
  「三本でないと価値が無いのよ。東京の家は売って一緒に暮らそうよ」
  
  「一億円を山分けか?美春はいくら欲しいんだ?」
  「バカ兄貴、まだ解らないの、みんなで暮らそうって言ってるでしょう」

 「みんなで暮らすのか?」
  「京都に来たのは、美幸と法子が付き合う為のお見合いなのよ」

  「だって、二人は俺の子供だろ?」
  「誰もお兄様の子どもなんて一言も言ってないわよ」

  「法子は俺に似ているんだよ。まさか、美幸は慎太郎さんの子供か?」
  「そうよ、私のバカ兄貴の慎太郎さんよ」

  「恵美、慎太郎さんは知っているのか?」
  「知らないわ。美幸もお父さんは要らないし、あなたは五人の女の亭主なのよ」

  「ちょっと待った。セックスレスの女房と、更年期のオバサン達を相手に、
亭主なんて出来ないよ。彼女を作って良いなら亭主をやっても良いぞ」

  「誰が、亭主を頼んだの?ひとり血族じゃない人を忘れていませんか?」
  「案内所のオバサンか?」

  「そうよ、案内所のオバサンの娘と付き合うならいいでしょう?」
  「まさか、あんなブスのオバサンの娘が美女なのか?」

  「はい、今年、二十八歳ですよ」
  「お母様、娘は俺と付き合っていいのか?」

  「はい、娘が今から来ますから愛人にしてください」
  「恵美、美春と仲良しなんだよな?俺に愛人がいてもおかしくないよな?」

  「私達が説得したのよ。この案内所は委託管理なのよ」
  「つまり、俺に京都の案内役になって、ここに勤務しろって事か?」

  「どこまで、バカなの?
委託管理だから、府の公共事業よ。みんなで新しい家に移って農家になるのよ」
  「農家か、今なら地産地消ブームだな。いいけど、俺って、バカなんだ」


  正人は、女たちの策略にハマって農家になるために美晴の家に向かった。









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